えびす講とは?2025年はいつ?お供え物や由来など解説

「えびす講」と言う言葉を聞いた事がありますか。日本の伝統行事のひとつで、日本各地で古くから受け継がれてきました。「えびす」は七福神のえびす様のことを言います。
そこで今回、意味や今年はいつ行われる行事なのか、お供え物や由来など解説いたします。
えびす講とは?
えびす講(えびすこう)とは、七福神の一柱である 恵比寿神(えびすさま) を祀り、商売繁盛や豊漁、豊作、さらには家内安全を祈願する日本の伝統的な行事です。恵比寿神は漁業の守り神として信仰されてきたほか、商業や農業を支える神様としても広まり、商人や職人たちから厚く敬われてきました。
行事は地域によって時期や形が異なりますが、多くの場所では 旧暦10月20日や11月20日ごろ に「えびす講」が開かれます。この日は「恵比寿様の縁日」とされ、神社やお堂に人々が参拝し、一年の商売繁盛や家の繁栄を願います。縁起物としては「福笹」や「熊手」「鯛の飾り」などが授与され、それを店や家庭に飾ることで福を招くと信じられています。
また、大規模な「えびす祭り」として開催される地域も多く、境内や周辺には夜店が並び、多くの参拝客で賑わいます。
つまり、えびす講とは単なる宗教的行事にとどまらず、人々の生活や商売と深く結びついた 地域の年中行事であり、福を呼び込むお祭り として、古くから親しまれているのです。
2025年のえびす講はいつ?
2025年の「えびす講」ですが、全国各地で行われる行事なので、地域によって行事内容や開催日が異なります。
たとえば、花火大会として有名な「長野えびす講煙火大会」と、伝統的な「えびす講(商売繁盛などを願う祭り)」では日程も異なります。
代表的な2025年の日程
長野市(長野えびす講)
えびす講祭(伝統行事):11月18日(火)~20日(木)
商売繁盛・五穀豊穣を祈る祭礼で、神楽の奉納や縁起物の販売があります。
えびす講煙火大会:11月23日(日・勤労感謝の日)
会場:長野大橋西側 犀川第2緑地
打ち上げ時間:18:00~19:30
打ち上げ数:約10,000発
雨天は決行、荒天中止(延期はありません)
■ 関西(十日戎・えべっさん)
開催期間:2025年1月9日(木)~11日(土)
9日:宵戎
10日:本戎(中心日)
11日:残り福
主に大阪周辺で商売繁盛を願う縁起物が多く並びます。
■ 足利市(栃木県)
開催日:11月19日(水)・20日(木)
西宮神社周辺で「おたから市」や芸能奉納など、多彩な催しあります。
19日は午前10時から終日、20日は午後3時頃まで。
■ 広島市(胡子大祭=えびす講)

開催時期:毎年 11月第3金・土・日曜日
2025年は 11月21日(金)・22日(土)・23日(日) に該当(第3金~日)
長い歴史を誇る祭りで、福熊手など縁起物の露店が並び賑わいます。
お供え物について
えびす講(恵比寿講)では、商売繁盛や家内安全、豊漁豊作を祈って神棚や恵比寿様に「お供え物」をします。
お供えは地域や家庭によって異なりますが、代表的なものをまとめてみました。
えびす講のお供え物の代表例
1. 鯛(たい)
恵比寿様が左手に持つ縁起物「めでたい」にちなみ、尾頭付きの鯛を供えるのが一般的です。
本物の鯛を用意できない場合は、紙製・木製の「張子鯛」や「奉納鯛」で代用することもあります。
2. 酒
日本酒をお供えします。商売繁盛や五穀豊穣を願う意味があります。
3. 米・餅
「五穀豊穣」に通じる米、または鏡餅を供える地域もあります。
4. 果物・野菜
季節の果物(みかん、柿、りんごなど)や野菜を供える場合があります。
5. 海産物
鯛以外にも、昆布・スルメなど「海の恵み」を供える地域もあります。
特に漁師町や港町では重視されます。
6. 小判・宝船の飾り
商売繁盛を願い、金色の小判や宝船を模した飾りを神棚に供えることもあります。
家庭でのお供え例(簡易版)
神棚に「米・酒・鯛(またはタイの飾り)」を供える
季節の果物を添える
お参り後に下げて、家族で「お下がり」をいただく
地域の特徴
関西(十日戎)では笹(福笹)に「小判や鯛の飾り」をつけて供えるのが有名です。
関東・信州(11月のえびす講)では、鯛とともにお酒や果物を供え、商売人の家では帳簿や通帳をお供えする習慣もあります。
えびす講の由来について
1. 「恵比寿(えびす)様」とは?
七福神のひとりで、右手に釣竿、左手に鯛を抱えた姿で知られる神様のことです。
古来より 漁業の神、商売繁盛の神、五穀豊穣の神 として信仰されてきました。
他の七福神はインドや中国由来の神様ですが、恵比寿だけは日本生まれの神とされ、親しみを込めて「えべっさん」と呼ばれる地域もあります。
2. 講(こう)とは?
「講」とは、特定の信仰をもつ人々が集まり、年に数回祭祀や供養を行う集まりのこと。
えびす講は、その名の通り「恵比寿様をまつる講(信仰集団)」から始まりました。
3. 農村での信仰
秋の収穫を終えた11月に、農村では「田の神様」「恵比寿様」へ収穫の感謝を捧げました。
収穫祭の一環として、家々で「鯛・酒・米」を供えて祀ったのがえびす講の起源といわれます。
4. 商人や漁師に広まる
室町時代以降、京都や大坂(今の大阪)の商人たちが、商売繁盛を願って恵比寿信仰を強めるようになります。
漁師町では「大漁祈願」の神として恵比寿講が行われ、都市部の商人たちは「えびす神社」で大祭を開くようになりました。
5. えびす講の日付の由来
全国的には11月20日前後に行われることが多いですが、地域によって異なります。
特に 関西(大阪の今宮戎など)では1月10日「十日戎(とおかえびす)」 が盛大に行われ、商人の祭りとして有名になりました。
まとめ
えびす講は、日本生まれの神様である恵比寿をおまつりし、五穀豊穣や商売繁盛、大漁を願う行事として古くから続いてきました。
農村では収穫への感謝を、商人や漁師は繁栄の祈りを込め、地域ごとに特色ある祭りとして受け継がれています。
現代でも家内安全や商売繁盛を願う暮らしの行事として親しまれ、恵比寿信仰の温かなつながりを今に伝えています。