睦月は何月?その意味と由来、語源を徹底解説

「睦月(むつき)」は現在の暦でいう1月を指します。
正月(しょうがつ/お正月)とほぼ同義で、旧暦の「一年の最初の月」を表す和風月名(わふうげつめい)の一つです。
それでは睦月の意味や語源・成立の経緯・関連行事などくわしく説明します。
睦月の意味 — 字義とイメージ
漢字の「睦」は「むつ(むつ)ぶ/むつまじい」などと読まれ、仲良くする・親しくする・和やかであるという意味を持ちます。
したがって「睦月」は字面から直感されるとおり、人々が親しく集まる月=家族や親戚、近所が和やかに付き合う正月の時期を示す言葉として理解されます。
新年のあいさつ回りや親族の集まり、年始の行事が多いことと結びつけて命名された、と言われます。
由来・語源(代表的な説)
「睦月」の語源については確定的な一説がひとつに決まっているわけではなく、いくつかの説が並存します。主な説を分かりやすくまとめます。
A. 「睦ぶ(むつぶ)」から:儀礼・交際説(最も通俗的・通用する説)
意味:人々が親しく和合する(むつまじくする)月、という語感から。
根拠:正月に親戚や村里の人々が集まり、年始回りや宴、和やかな交流が行われることが古来の年中行事と一致する。
評価:一般に最もイメージしやすく、教科書的にもよく紹介される由来です。
B. 旧暦・年中行事に由来する説(季節行事の総称化)
意味:旧暦(太陰太陽暦)での「一月」は新年の行事・祝いが集中する月で、そうした「むつまじき」行為をまとめて「睦月」と呼んだ。
評価:上の説と近く、行事的な裏付けを含む説明です。
C. 言語学的・古語由来の諸説(語形変化説など)
意味の由来を「むつ(接頭語的な語幹)+き(月)」のように分析する説や、平安以前の読み方・古代の語義変化を参照する説があります。
たとえば、古語の「むつ」(結ぶ、和する、親しむ)との関係を重視する見方。
評価:学術的には語源の語根を古語に求める研究もありますが、一般向けには上の行事説明と重なります。
要するに:「人と人がむつまじくする月」という意味づけが文化的・言語的両面から自然に成立した、という理解で問題ありません。
歴史的背景 — いつから使われたか
和風月名(和名の月)としての使用は古代〜中世にさかのぼり、奈良・平安時代の文学や年中行事の記録にも類似の月名が見られます。
古くは中国由来の旧暦(太陰太陽暦)が使われ、日本でも季節感や行事に応じた和風の呼び名が発達しました。
和風月名は詩歌や年中行事の説明に好んで用いられ、以降の日本文化に定着しました。
現代では旧暦の月名をそのまま現代の各月(1月〜12月)に対応させて使う慣習が一般化しており、睦月=1月という対応が通常です。
「睦月」と「正月」との違い
正月(しょうがつ/お正月):新年を祝う行事・期間そのもの(1月1日を中心にした年始の行事群)を指す言葉です。
睦月(むつき):月名(1月)そのもの。したがって「睦月」は暦上の名称、「正月」は行事・祝祭を指す語という違いがあります。実用上は重なりますが、語感は若干異なります。
読み方・表記注意
標準的な読みは 「むつき」。
漢音読みや書き言葉では別の読み方(例:「ぼくげつ」といった読み)をすることもありますが、日常・文学的に使うときは「むつき」です。
古い文献では表記や読み方の変遷があるため、文脈によっては異表記に出会うことがあります。
睦月に関連する行事・風習(日本)
睦月=1月に行われる伝統的・現代的な行事を挙げます(代表的なもの):

元日(1月1日)・お正月の祝賀:年賀・年始の挨拶、家族の団らん。
初詣:神社仏閣へ新年の参拝。
おせち料理・お雑煮:正月の特別食。
お年玉:子どもに渡す年始の祝儀。
鏡開き(1月11日など):神前に供えた鏡餅を下げて食べる行事。
成人式(現代の多くは1月第2月曜):成人を祝う式典(自治体行事)。
年始回り・仕事始め:企業や職場での年始の活動。
これらの行事が「人々が集まる・親しくする」という睦月の語義と結びついています。
他の月名との比較(和風月名の系譜)
日本の和風月名は趣のある名前が多く、たとえば:
如月(2月)、弥生(3月)、卯月(4月)、皐月(5月)、水無月(6月)…と続きます。
「睦月」はそのうちの最初の月で、「和やかさ・親しさ」を象徴する名前として位置づけられています。
よくある質問(Q&A)
Q. 旧暦の1月と現在の1月は同じ?
A. 厳密には違います。旧暦(太陰太陽暦)では月のずれがあるため、旧暦の「正月」は現在の暦(太陽暦=グレゴリオ暦)の1月1日に一致しない年もあります。しかし現代日本語で「睦月=1月」と言うのが一般的です。
Q. 「睦月」はいまだに使う?
A. はい。詩歌・挨拶文・和風の表現・年賀状の言葉などで使われます。日常会話では単に「1月」や「お正月」と言うことが多いですが、和風表現として雅やかな響きがあります。
まとめ(ポイント)
睦月は1月です。
「睦」は「親しくする」「和やか」の意味を持ち、親族や人々が互いに親しく集う月というイメージから名付けられた。
起源は古代〜中世の和風月名の伝統にあり、年中行事(正月の風習)と強く結びつく。
現代では「1月」「お正月」の雅語・文学語として用いられる。
